微妙なバランスを保つ全方位外交 3
・・・こうした認識にもかかわらず、中国指導部の見解は、アメリカには単独で覇権を確立するほどの力量はないと見なす点で一致していました。
アメリカ経済の基盤が脆弱で日本を含む他の西側同盟諸国の助けなしには、その強大な軍事力も発揮できないと見るからにほかなりません。
・・・つまり相対的に経済が軍事を制約しうる限り、経済大国である日本、あるいはドイツを含むEC(欧州共同体)などもアメリカに一定程度の影響力を行使しうると見なすわけです。
この意味で、軍事に加えて経済など非軍事的な影響力を加えた総合的な国力という尺度で見れば、依然、世界は「多極化」への方向をたどっているということになります。
しかし、その場合にも「多極化」という概念は、かつて宙郷が88年に世界構造を非軍事化への方向にあるものと楽観してこの概念を用いたのとは違うでしょう。
あくまで軍事的意味合いを中心として用いられていること、それほどに中国がアメリカの軍事的脅威を強く意識していることを忘れてはなりません。
さらに世界がこうした多極構造をなしている限り、中国にはジャパン・カードもEC・カードも、さらにはロシア・カードも引くことができることになります。